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- 2025/10/13
『ブランドガイドラインって何?』 作成と運用で、SNSとデザインに統一感を生む方法

「SNSの投稿ごとに雰囲気がバラバラで統一感がない…」
「デザイナーによって、ロゴや色の使い方が毎回違う…」
「ブランドらしい言葉で発信したいけど、基準がなくて迷ってしまう…」
これは、デザインや制作に関わる人だけでなく、制作会社やフリーランスにクリエイティブ制作を依頼している方、マーケティングや広報の方、採用活動を進める人事の方、新規事業を任された方、そして経営者の方からもよく聞くお悩みです。立場は違っても「ブランドの統一感をどう作るか」という課題は共通しています。
こうした問題を解決してくれるのが、ブランドガイドラインです。カラー・ロゴ・フォント・写真・コピーなどを整理し、「私たちのブランドはこう見せていきましょう」と社内外に共有するための指針です。これがあることで、どんな制作物でも一貫したトーン&マナー(見た目と言葉のルール)で発信でき、企業の信頼性を高めることができます。
私が代表を務めるブランディング会社「LEFANA(レファーナ)」でも、さまざまな企業様のブランディングをお手伝いしてきましたが、成果を出している企業様にはブランドガイドラインが必ずあります。それがないと、せっかくSNSや制作物に力を入れても、「なんとなく良い」だけで終わってしまい、ブランドの成長につながらないことが多いのです。
この記事では、ブランドガイドラインの構成要素から素材選び、社内での運用、定期的な見直しまでをわかりやすく解説します。初めての方でも取り入れやすい内容ですので、ぜひ最後までお読みいただき、自社のブランド力を高めるヒントにしてください。
得意なジャンル:美容、アパレル、グルメ、不動産、旅行、イベント
前職で東京ガールズコレクションの初期メンバーでロゴデザインなどのブランディングを担当。その後独立して飛び込み営業で桂由美ホームページを1000ページ受注、小室哲哉プロデュースユニットのジャケットデザインのディレクション。ほかSIXPADのインスタ撮影をLAでプロデュース、伊藤忠リーテイルリンク様の商品ブランディングを行っています。
ブランドガイドラインの構成要素とは?
ブランドガイドラインは、単なる「デザインマニュアル」ではありません。あらゆる接点でトーン&マナーを保ち、企業の価値観や世界観を一貫して伝えるための基盤となるもの。SNSや広告、WebサイトやLP(ランディングページ)、パンフレットや営業資料に至るまで、あらゆる接点でブランドらしさを守る役割を持っています。ここからは、実際にブランドガイドラインを作成するときに盛り込みたい主な構成要素を解説します。
1. カラー(ブランドカラーの定義)
色はブランドの第一印象を決定づけます。赤は「情熱」「行動力」、青は「信頼」「誠実さ」、緑は「安心」「自然」など、色には心理的な効果があります。
【整理する色の種類】
- メインカラー(ブランドの核となる色)
- サブカラー(補助的に使う色)
- アクセントカラー(強調したい部分に使う色)
- RGB/CMYK/HEXなどの数値指定
これにより、デザイナーや担当者の方が変わっても、統一したカラーを使うことができ、SNSから広告やWebサイト、印刷物まで同じ世界観を維持できます。
レファーナはブランドガイドライン作成を支援しています。「制作物によって色味が微妙に違う」という課題を、ブランドガイドラインで数値化することで、ブランドの信頼感を大きく高めた実績があります。
2. ロゴ(ブランドの顔を守るルール)
ロゴはブランドを象徴する「顔」ですが、現場では以下のようなトラブルが起こりがちです。
- ロゴの縦横比が崩れている
- 背景色によって見やすさ(視認性)が落ちている
- 担当者が独自に色を変えてしまっている
これを防ぐために、ブランドガイドラインでは以下を明確にします。
- 正式なロゴのバリエーション(フルカラー・白黒・シンボルのみなど)
- ロゴ周囲の余白ルール(他要素と干渉しないように)
- 最小サイズ(小さすぎて潰れないように)
- 使用禁止例(色替え、影付け、縦横比変更など)
視覚的な事例を載せて「OK/NG」を示すと、誰でも迷わず正しく使えるようになります。
3. フォント(文字の声を統一する)
フォントは、ブランドが「どんな声で語りかけているか」を表現します。カジュアルに見せたいなら丸ゴシック、信頼感を重視するなら明朝体など、選び方一つで印象は大きく変わります。
【ガイドラインで定義すること】
- 見出し用フォント
- 本文用フォント
- デジタル用と紙媒体用のフォント
- フォントサイズや行間のルール
これにより、SNS投稿から広告、営業資料まで、同じ「声のトーン」でブランドを伝えることができます。
4. 言葉とコピーのトーン&マナー
ブランドガイドラインの中でも軽視できないのが「言葉の使い方」です。言葉はブランドの人格を形づくり、ユーザーとの距離感を決めます。
【整理したい観点】
- 呼びかけ方:「お客様」「みなさま」「あなた」など
- 語尾のトーン:「です・ます調」「フランクな表現」など
- 禁止ワード:過度な誇張やネガティブ表現を避ける
- ブランドの価値観を示すコピー例
ブランドの価値観を示すコピー例とは、たとえば美容ブランドで「最新技術で肌を改善」と書くのではなく、「朝の鏡に映る自分の肌に自信が持てる日常を」と表現すること。商品を使った体験を想像させると、共感を得やすくなります。
私たちレファーナでも、企業様のSNS投稿を言葉のトーン&マナーに沿って整備した結果、フォロワーから「世界観が好き」と言っていただけるようになったという事例があります。
5. 写真・ビジュアルのトーン&マナー
写真やビジュアルは、SNS時代においてブランドの世界観を最も直感的に伝える要素です。
【ガイドラインで定義すること】
- 明るさやコントラストの基準(自然光/加工の有無など)
- 被写体の雰囲気(自然体/笑顔/フォーマルなど)
- 構図や余白の取り方
- フィルターや加工の方向性
たとえば、インスタグラムのフィードを見たとき、すべての投稿が一つの「ブランドのショーケース」としてまとまって見えるかどうかは、ビジュアルの統一にかかっています。
6. アイコンやグラフィックパーツ
意外と盲点なのが、アイコンやイラストの使い方です。線画でシンプルにまとめるのか、立体感を出すのか、色味を限定するのか。細部まで揃えることで、SNS投稿やWebサイト、パンフレットなど、あらゆる制作物で一貫した完成度を演出できます。
7. ガイドラインがあることで得られる効果
【ガイドラインを整備した企業の効果】
- SNSの統一感が高まり、フォロワーが増加
- 営業資料や広告の完成度が上がり、商談率が向上
- 新入社員でも迷わず「ブランドらしい」制作物を作れる
- 制作を外部に委託する際も、ガイドラインを渡すだけでイメージがブレない
実際にレファーナが支援した企業様から、ブランドガイドラインを整えたことで「SNS運用がスムーズになった」「採用活動の発信がわかりやすくなった」といった声が届いています。
以上のように、ブランドガイドラインは、カラー・ロゴ・フォント・コピー・写真・グラフィックといった多様な要素から成り立っています。これらを明確に定義することで、「どこで見ても同じブランド」と感じてもらえる一貫性が生まれます。SNSや広告だけでなく、採用や営業など企業活動全体において統一感を持って発信できるようになるのです。
外部素材・写真素材の選び方
ブランドガイドラインに欠かせない要素のひとつが、「写真や外部素材の統一」です。SNSや広告、Webサイト、パンフレットなどの制作物に使うビジュアルは、ユーザーにブランドの世界観を直感的に伝える力があります。ところが、多くの企業では「フリー素材をその場で選ぶ」「担当者ごとに写真の雰囲気が違う」といった問題が起きがちです。
素材の選び方を誤ると、「どこかで見たことがある無個性な写真」「ブランドの雰囲気に合わない写真」が混ざり込み、せっかくのデザインやコピーが台無しになってしまいます。だからこそ、外部素材・写真素材を選ぶ際にも明確なルールを設けることが重要です。
1. ブランドの世界観と合っているか
まず最優先で考えることは「その素材がブランドの世界観に合っているか」です。たとえば、シンプルかつ上品さを打ち出したいブランドが、派手でカラフルなフリー素材を使ってしまうと、一気にトーンが崩れてしまいます。
【選び方のポイント】
- ブランドカラーと調和しているか
- 被写体の雰囲気(自然体/フォーマル/ポップなど)が合っているか
- 伝えたいメッセージに沿った情景やシーンになっているか
レファーナでご支援した案件でも、「資料は上品なのに、SNSはポップすぎる素材を使っていた」というケースがありました。ガイドラインで写真の方向性を決めたところ、すべての制作物に統一感が生まれ、「洗練されたブランド」という印象を与えられるようになったのです。
2. フリー素材と有料素材の使い分け
コストを抑えたいときにはフリー素材は便利ですが、次のようなデメリットもあります。
- 他社と被りやすい
- ありきたりな印象になりやすい
- クオリティにばらつきがある
一方、有料素材やフォトグラファーの写真は、独自性が高く、ブランドイメージを格上げしてくれます。
おすすめは「場面によって使い分ける」ことです。
【使い分けの例】
- SNSのちょっとした投稿:フリー素材でもOK。方向性は統一
- コーポレートサイトや採用ページ:有料素材やオリジナル撮影を活用
- 広告やパンフレット:プロの撮影でブランドらしさを最大化
このように「どの場面でどんな素材を使うか」をあらかじめ決めておくと、迷いがなくなります。
3. 写真のトーン&マナー
同じフリー素材でも、写真によって明るさやコントラストが違うと統一感が失われます。たとえば、ある写真は淡いナチュラルカラー、別の写真は強めのビビッドカラーだと、SNSのフィードに並んだときに「雑多な印象」になってしまいます。
【ガイドラインに盛り込むルールの例】
- 明るめ・ナチュラルな光を優先
- フィルター加工は最小限にする
- 人物は笑顔や自然体を選ぶ
- 加工の有無を揃える
インスタグラムのアカウント全体を見たときに、「このブランドらしい」と感じられることが重要です。
4.著作権や利用規約の確認
外部素材を使うときに意外と見落とされるのが、著作権や利用規約です。「フリー素材」と書かれていても、商用利用NGやクレジット表記が必要な場合があります。
ブランドガイドラインには「利用可能な素材サイト一覧」「禁止しているサイトや素材」「クレジット表記のルール」などを明示しておくと安心です。これは担当者が変わっても、トラブルなく素材を利用できる大切な仕組みになります。
5. 著作権や利用規約の確認
SNSでは画像だけでなく、動画やアニメーション素材を使う機会も増えています。このときも以下のようなルールを設けると統一感が保たれます。
- 動画の長さ(15秒以内/60秒以内など)
- 音楽の雰囲気(明るめ/落ち着いたトーン)
- アニメーションのスピードやテイスト
たとえば、BtoB企業なら落ち着いたテンポの映像、ライフスタイルブランドなら軽快なテンポなど、ブランドに合った選び方を徹底しましょう。
6. アイコンやイラストのトーン&マナー
写真と同様に、アイコンやイラストもブランドの雰囲気を大きく左右します。線の太さや色味がバラバラだと一体感が損なわれますのでご注意ください。
【ガイドラインに盛り込む観点】
- 線画・フラットデザインを優先するのか
- 立体的なアイコンを使うのか
- 使用するカラーを限定するのか
小さなパーツまで統一しておくと、Webやパンフレット、SNSまでスムーズに活用できます。
7. 運用に役立つサンプル集
外部素材を使う担当者の方は、必ずしもデザインの専門家ではないかと思います。だからこそ、誰でも迷わず選べるように、実務に役立つ工夫をブランドガイドラインに盛り込んでおきましょう。素材のサンプル集として活用できます。
- 素材選定の参考例をガイドラインに載せる
- 推奨する写真サイトのURLを明記する
- NG例を載せて「こういう写真は避けましょう」と示す
レファーナでも、実際にクライアント企業様向けに「このサイトの写真はブランドに合う」「このトーンの写真はNG」といったサンプル集を作ったことで、社内外の誰もが迷わず素材を選べるようになりました。
8. 外部に委託する時のポイント
写真や素材の制作を外部に委託する場合も、ブランドガイドラインがあれば安心です。 「ブランドに合わない写真が上がってきた…」というミスマッチを防げます。
- 委託先にブランドガイドラインを渡す
- ブランドの世界観をサンプルで示す
- 制作物が基準に合っているかチェックリストで確認する
これにより、委託先が変わっても「一貫したクリエイティブ」を維持できます。
以上、外部素材や写真素材の選び方は、ブランドの統一感を守るうえで欠かせない要素です。ブランドの世界観に合った写真を選び、トーンを揃え、著作権にも配慮しながら運用することで、SNSから広告、採用ホームページ、営業資料に至るまで、「同じブランド」として伝わるようになります。
ブランドガイドラインに具体的なルールを設けておくことで、誰が担当しても迷わずに素材を選べる体制が整い、外部委託の際にもやり取りがスムーズに進みます。結果として、ブランドの信頼性を守り、発信力を高めることになります。
社内共有と運用のルール
ブランドガイドラインを作成しただけでは、効果は十分ではありません。大切なのは、それを社内外の関係者が理解し、日常的に活用できるようにすることです。
SNSの投稿、営業資料、採用パンフレットなど、あらゆる制作物に反映されて初めて「ブランドの一貫性」が生まれます。ここでは、ブランドガイドラインをどのように共有・運用していくのかを具体的に見ていきましょう。
1. ブランドガイドラインを「見える化」する
せっかく作ったブランドガイドラインでも、ファイルが埋もれてしまったり、一部の人しか見られなかったりすれば意味がありません。誰でも簡単にアクセスできる状態にしておくことが大切です。
- オンラインで共有:Google Drive、Notion、社内ポータルなど、日常的に使う場所に置く
- 紙でも配布:営業や店舗スタッフなど、現場にまでしっかり届くようにする
- 常に最新版を共有:更新履歴を残し、古いファイルが使われないようにする
レファーナでも、ブランドガイドラインをオンラインと紙の両方で展開したことで、誰でもすぐに参照できる環境を整えました。その結果、「探す手間がなくなった」「迷ったらすぐに確認できる」といった声が増え、運用が定着しました。
2. 社内で研修や説明会を実施する
ブランドガイドラインは、読むだけでは理解が浅くなりがちです。そこで効果的なのが、社内研修や説明会を開催することです。
- ブランドガイドラインの目的を伝える
- 実際のOK例・NG例を比較しながら説明する
- 質疑応答で疑問を解消する
特に新入社員や異動してきたメンバーは、ブランドガイドラインを知らないまま業務にあたることがあります。入社研修や配属時のオリエンテーションで説明しておくと、早い段階から「ブランドらしい」発信ができるようになります。
3. 部署ごとの役割を決める
ブランドを守るのはデザイン部門や広報だけではありません。営業や人事、新規事業など、社内のあらゆる部署が関わります。そこで重要なのが、役割分担の明確化です。
【担当例】
- マーケティング部門:SNS投稿のトーン&マナーをチェック
- 人事部門:採用ページや求人広告がブランドガイドラインに沿っているかを確認
- 営業部門:提案資料や顧客向け資料でフォントやカラーを統一
- デザイン部門:委託先へのブランドガイドラインの提供と監修
部門ごとに「何をチェックするのか」を決めると、誰もが自分の立場でブランドガイドラインを活用できるようになります。
4. 運用ルールを明文化する
ブランドガイドラインは「理想像」ですが、それを日常業務に落とし込むためには運用ルールが必要です。
【運用ルールの例】
- SNS投稿はブランドガイドラインに沿って承認フローを通す
- 新しいデザインやコピーを作る際は、ブランドガイドライン担当者がチェックする
- ブランドガイドラインから外れる場合は、理由を明記して承認を得る
これらをルール化することで、「なんとなく自己流でやってしまった」という事態を防げます。
5. チェックリストを用意する
実務の現場では、細かいルールをすべて覚えておくのは困難です。そこで有効なのがチェックリストです。
【チェックリストの例】
- ロゴの余白ルールを守っているか
- ブランドカラーを正しい数値で使用しているか
- コピーがトーン&マナーに沿っているか
- 写真の明るさや雰囲気が統一されているか
制作物を仕上げる前にチェックリストで確認すれば、誰でも最低限のクオリティを守ることができます。
6. 外部パートナーへの共有
広告代理店、デザイン会社、フリーランスのクリエイターなど、外部パートナーにクリエイティブの制作を依頼することも多いでしょう。委託先にとっても「ブランドらしさをどう表現するか」はわかりにくいポイントです。そこで、必ずブランドガイドラインを共有し、最初に「ブランドの基準」を理解してもらうことが重要です。
【共有の仕方】
- 初回の打ち合わせでブランドガイドラインを提示
- サンプルや参考事例を合わせて渡す
- 制作物のガイドラインチェックを行う
こうすることで、外部パートナーに委託しても、ブランドの一貫性を維持できます。レファーナでも、外部パートナーへの共有を徹底することで、制作の修正回数が減り、コスト削減にもつながっています。
7. 成功事例を社内で共有する
ブランドガイドラインを形骸化させないコツは、「使ったら成果が出た」という事例を共有することです。
【成功事例のイメージ】
- SNSで統一感を出したらフォロワーが増えた
- 採用ページのトーンを統一したら応募数が増えた
- 営業資料のデザインが整って、商談での印象が良くなった
こうした成功体験を社内で共有すると、「ブランドガイドラインは役に立つものだ」という意識が広がり、自然と定着していきます。
8. 日常業務に溶け込ませる工夫
最後に大切なのは、ブランドガイドラインを「特別な資料」ではなく、日常業務に自然に組み込むことです。ブランドガイドラインを使うことによって、日常業務が効率的になる状態を作ることがポイントです。
- テンプレートを用意しておき、誰でもブランドらしい資料をすぐ作れるようにする
- SNS投稿フォーマットを作り、写真やコピーを入れるだけで完成するようにする
- 定期的に社内チャットで、簡単に真似できる「今週の成功事例」をシェアする
こうした工夫によって、ブランドガイドラインが社内の文化として根づきやすくなります。
以上、ブランドガイドラインは作って終わりではなく、社内外にどう共有し、どう運用するかが成果を分けます。 見える化、研修、役割分担、運用ルール、チェックリスト、外部パートナーとの共有、成功事例のシェア。これらを仕組み化することで、ブランドガイドラインは単なる資料から「ブランドを守り、育てる仕組み」に進化します。
レファーナでも、多くの企業様のこの仕組みづくりをサポートしてきましたが、運用ルールを整えた企業様は例外なく「ブランドの統一感」と「発信力」が高まりました。ぜひ貴社でも、ブランドガイドラインを活かす運用ルールを整備してみてください。
定期的な見直しと更新
一度作ったブランドガイドラインは、定期的に見直し、更新を重ねていきましょう。市場環境やユーザーの価値観は常に変化します。SNSのトレンドやデジタルツールも、数年単位で刷新されていきます。その中で、古いルールに縛られてしまうと、せっかくのブランドが「時代遅れ」に見える危険があるのです。
レファーナでも、ブランドガイドラインの新規作成だけでなく、「数年経ったので見直したい」というご相談を多くいただきます。一緒に改訂を進めていくと、ブランドが再び活性化し、発信力が大きく高まるケースがほとんどです。ここでは、ブランドガイドラインの見直しや更新をどう進めていけばよいのかを具体的に解説します。
1. 見直しのタイミングを決めておく
「いつ見直すか」が決まっていないと、つい後回しになりがちです。
【おすすめのタイミング】
- 年に1回の定期チェック:ブランド全体の状況を整理する機会に合わせる
- 新商品・サービスのリリース時:ブランドの世界観に合わせて追加・調整
- SNSや広告のトーンが変わったとき:現場の変化を反映する
- 社内から「わかりにくい」と言われたとき:ブランドガイドラインの改善ポイントとして即時対応
年1回の見直しはおすすめです。決算や事業報告のタイミングに合わせてチェックすることで、自然と習慣化できます。
2. 時代に合わせた表現の更新
デザインや言葉のトレンドは数年で変化します。数年前に「かっこいい」と思われたデザインが、今では「古い」と感じられることもあります。
【トレンドの変化】
- フォント:かつてはゴシック体が主流、今は柔らかい丸ゴシックや洗練されたサンセリフ体が人気
- 写真:過度な加工が流行った時期もあったが、今は「自然体」「リアル」が好まれる
- コピー:機能を訴求する言葉から、共感や体験を重視する言葉へ
ブランドガイドラインは「ブランドの世界観」を軸にしつつも、時代に合わせてアップデートすることが必要です。
3. SNSトレンドへの対応
SNSは、特に変化が速い分野です。インスタグラムだけを例にしても、以下の変化が見られます。
▼かつて:写真のフィード投稿が中心
▼現在:リール(動画)が重視される
▼今後:ストーリーズやコラボ投稿の重要性がさらに高まる
このように数年で主流が変わります。ブランドガイドラインに「投稿は静止画が基本」と書いたままだと、トレンドと乖離してしまいます。だからこそ「SNSの使い方」に関する項目は、最低でも半年〜1年に一度は見直しましょう。
4. 社内の声を反映する
ブランドガイドラインを運用していると、現場の担当者から必ずフィードバックが集まります。
- 「このルールだと実務で使いにくい」
- 「この表現は古く感じる」
- 「SNSでの反応が良くなかった」
こうした声は、ブランドガイドラインをブラッシュアップするための貴重なヒントです。定期的にアンケートやヒアリングを実施して、現場の声を反映させると、より使いやすく効果的なブランドガイドラインになります。
レファーナでも、クライアント企業様の現場スタッフに意見を聞きながら、「第二版」「第三版」と改訂を進めています。ブランド全体の一体感が強まった事例は多数あります。
5. ブランドの成長に合わせた改訂
スタートアップや新規事業では、初期に作成したブランドガイドラインが、とりあえずの「暫定版」になりがちです。成長とともに事業領域が広がり、ターゲット層が変わり、ブランドの方向性が進化します。そのときには、初期のガイドラインに固執せず、ブランドの成長に合わせて更新する柔軟さが重要です。
【改訂の例】
- 新しいロゴやスローガンを追加する
- 採用ブランディング専用のルールを追加する
- 海外展開用に英語版のコピー規定を整備する
こうした更新を積み重ねることで、ブランドは時代に取り残されず、常に成長し続けることができます。
6. 更新を効率的に行う仕組み
更新を毎回ゼロから考えるのは大変です。そこで、効率的に改訂できる仕組みを作っておくと便利です。
- 担当者を決める:ガイドライン管理をマーケティング部門や広報部門に任せる
- 改訂フローを用意する:提案 → 検討 → 承認 → 更新という流れを決めておく
- 更新履歴を残す:どの部分をいつ変更したのかを記録し、古い資料と混在しないようにする
履歴管理は重要。古いブランドガイドラインが社内に残っていると、間違って使われる原因になります。
7. 外部パートナーとの共有も忘れずに
ブランドガイドラインを更新したら、外部パートナーにも必ず共有しましょう。代理店やフリーランスのデザイナーが古いブランドガイドランを使い続けてしまうと、一気にブランドの統一感が崩れてしまいます。
【更新時に徹底すること】
- 新しいバージョンをすぐに送る
- 変更点を簡潔にまとめて伝える
- 必要に応じて説明会を開く
レファーナでも、更新のたびに「変更点をわかりやすくまとめた資料」を用意し、外部パートナーに共有することで、無駄な修正を防いでいます。
8. 成功事例から学ぶ
実際にブランドガイドラインを見直したことで成果を上げた企業様の事例をご紹介します。
- A社(製造業)
古い写真素材を最新のスタイルに更新。SNSの印象が明るくなり、フォロワー数が1.5倍に。 - B社(人材サービス)
採用向けのコピーを若者に刺さる言葉に更新。エントリー数が前年比で30%アップ。 - C社(スタートアップ)
海外展開を見据えて英語版ガイドラインを追加。現地代理店とのやり取りがスムーズになった。
ブランドガイドラインの更新は「ブランドの鮮度」を保ち、具体的な成果につながる投資です。
以上、ブランドガイドラインは定期的に見直して更新することで本当の価値を発揮します。市場の変化や社内の声を取り入れながらアップデートすることで、ブランドは常に時代に合った姿で発信を続けることができます。
レファーナでも、クライアント企業様と一緒にガイドラインを改訂する中で「ブランドが再び輝き出す瞬間」を何度も見てきました。貴社でもぜひ、ガイドラインを“生きたルール”として育てていってください。
まとめ|ブランドガイドラインは、企業の羅針盤
「ブランドガイドラインとは何か」から始まり、その構成要素、素材の選び方、社内共有の仕組み、そして定期的な見直しの重要性についてお伝えしてきました。共通して言えるのは、ガイドラインは企業の“ブランドらしさ”を守り、育てていくための羅針盤であるということです。
SNSや広告、Webサイト、営業資料、採用ページ──。ブランドはユーザーと出会うあらゆる場面で姿を見せます。ブランドガイドラインが整っていれば、そのすべてに一貫性が生まれ、信頼感や共感を得やすくなります。
レファーナでも、多くのブランドガイドライン作成や運用をサポートしてきました。その経験から強く言えるのは、「ガイドラインは作成が目的ではなく、日々の運用と更新を通じて生き続ける仕組みである」ということ。
ぜひこの記事をきっかけに、自社のブランドを整理し、ブランドガイドラインを整備してみてください。きっとこれからの発信や事業活動に、確かな軸と大きな自信をもたらしてくれるはずです。
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